『FRANCE 172 ATSURO WATABE』写真集発売記念 渡部篤郎トークショウ
本文へジャンプ 2007.08.20更新 
             
お話の順番とか細かいニュアンスとか違っているかと思いますが、思いつくまま書いてみます。

前の方に高めの木のスツールが三つ。
司会者のキネマ旬報社の方がまず出てきて、いよいよ渡部さんとカメラマンの芝田さん登場。
渡部さんの服装はブルーのカフタンぽい襟元を紐で編み上げているシャツをオーバーに着て、下は白のコットンパンツ。足元は紺の布靴を裸足に。髪は長くもなく坊主でもないいつもの長さ・・・、で伝わるかな?ちょっと分け目をつけてる感じ?

ようこそ来て下さいました、みたいな挨拶の後、今日はあまり暑くなくてよかったですとにっこり。もう心臓わしづかみですわ(^_^;)。

カメラマンの芝田さんとは映画「ヒート・アフター・ダーク」以来のつきあい。
芝居の稽古をしている間、思ったよりヒマだったので芝田さんに声をかけたらつきあってくれた。
一年に3・4枚しか撮らないようなすごい人なんだそうです。アヴィニョンから参加。
いつもは見せない素の姿もよく撮れているのでは?という司会者に、芝田さんはカメラを向けると自然にポーズがついてしまう、それがきまっていてさすが俳優だと渡部さんを語ってくれました。
渡部さんは俳優をやっているくせにカメラが苦手で家で練習している時が一番うまいかもしれない(笑)、カメラを向けられると緊張するみたいなことを。

写真は6000枚(何枚だっけ?と隅に控えているスタッフのAさんに確認している姿が可愛かったです)、インタビューも12時間くらいあって、全部入れたら何巻にもなる分量で、さすがにそれでは商品にならないので削りに削ってこんなかたちになったらしい。「アクターズ・ファイル」の時はなんか「不自然」で渡部さん自身は不満があったようで、今回はかなり渡部さんの意向が入っているそうです。
写真展の会場も百年くらい前のフランスの木のブラインドがあるここが気に入って、渡部さんが決めたそうです。ちょっとカールした厚紙にざらっとした感じでプリントした写真を枠もなにもなしでそのまま紐でぶらさげただけというラフな飾り方だったんだけど、それも渡部さんが考えたらしい。

司会者は写真集を売るためにサイン会と握手会をやって欲しかったけど、笑っただけで拒否されたそうです(笑)。
でも、めったにない機会なので「最初で最後のトークショーもいいかな」とこういう形の開催になったとのこと。スペースの関係もあって、抽選にはずれた方達に申し訳なさそうでした。


宣伝になるけどと前置きして『コトバのない冬』の話に(ええっ、編集終わったの?公開のメドは?)。
撮影の時のエピソードで、俳優さんに状況だけ説明してセリフも決めずに自由に演技をしてもらった。カメラ4台を持っていってたのでまわしっぱなしで撮影したそうな。友人の俳優さんたちもよくわかってくれたとか。
型にはまったようなのがイヤで、「関係者いないと思うから言うけど」時代劇が大嫌いだとか(場内苦笑)。
日常的な淡々としたドラマ作りがお好きなのでしょうが、それは結構難しいことなのではとちょっと余計なお世話的な感想・・・。


で、僕はわがままなんですよとしきりに言っておられました。わがままいえないと具合が悪くなるとか(笑)。
ホテル泊まったっていいじゃない、車を運転してもいいじゃないって笑いながら言ってらしたことは後で写真集を読んで意味がわかりました。
そのわがままによくつきあってくれるのが芝田さんだとか。

場内に展示されている写真をみながらどれが好き?と聞かれて渡部さんはうーんと考えてどれもいい写真だと思うみたいなことを。
芝田さんは演出家のエリック氏と渡部さんが握手をしている写真を指して「最初に撮ったものだから印象深い」と。
アヴィニョンの舞台で一人で祈っている写真を見ながら、毎日祈ってたよねと芝田さん。

アヴイニョンでは毎朝一人で舞台に行って声を出したりしてたとか、後で読んだ写真集にも書いてあった日課のことを話されました。この時アヴィニョンに来てくれた人は知ってると思うけどって、こっちの方を見てくれたような気がしてドッキリ(ま、隣にいらしたYさんに向かっておっしゃったんでしょうけど^_^;)。てか、そんな朝から会場に行ってないから知りませんでしたよ〜。

舞台の前は緊張の為、かなりピリピリしてたみたいに言われて「そうでもないけどな〜」という渡部さんに「いやいや、やっぱりしてましたよ」と芝田さん。
舞台を初めて見た印象を聞かれて場内の写真を指しながら「あの炎の中を歩いて出てきた時はゾクゾクした」そうです。やっぱりそうだよね〜、あの演出はすごく渡部さんを引き立ててインパクトがあったもの。

アヴィニョンではずっと自炊してて、やっぱり和食がいいとか。(渡部さんは)料理上手なんですよと芝田さん。へーえ、以前TVで料理はしないって言ってたことあったよなあと、すんごく意外でした。

日常を大事にしてる、僕はほんとに普通の人間なんですってしきりに言ってらしゃったのが印象的。

あと、来年で四十だからとか、この歳になったからこんなトークショーもできるようになったとか、かなり年齢を意識されてるようで、「ああいうの(若い女性向けの恋愛ドラマって意味かなあ)はもういいよね」みたいなことを。
「続編の話もあるけど、もう無理だよね〜」というのは、やっぱりあの作品のことなのでしょうね。
う〜ん、やっぱり続編ないのか〜。噂を聞いた時には今更無理なんじゃないのとは思ったけど、やっぱり少しは(大いにかも)期待してしまったわけで・・・。やっぱな〜、やっぱな〜(泣)。

「今度はどんな仕事やるのかな(やろうかなだっけ?)」みたいなことを言っておられたので、次の仕事は決まってないかな?とちょっとガッカリしたけど、渡部さんの口調が明るくて楽しそうだったのがなんだか新生渡部篤郎を期待させてワクワク。ほんとに早く仕事して下さいよ〜。

でも言葉の端々に、演じることよりプロデュース的な作る方に興味がむいているのかなという印象を受けました。

唐突に「男性が結構来てくれてうれしい、そういう人は俳優志望が多いんじゃないの?」と一人の男性に話しかけたようで、さぞかしその方は驚かれたのでしょう、固まってらしたのか返事なし。
「僕をめざすとか言う人がいるけどやめた方がいいよ」と渡部さん(笑)。

韓国から来てくれた人もいるんだよねと、舞台も見に来てくれて・・・と話しかける渡部さん。彼女が「韓国ではすごい人気です」と言うのに「どのくらい?日本でヨン様が人気あるけどそんな感じ?家族とか?」って、ヨン様みたいに「ファンの皆さんは私の家族です」って言わなきゃいけないのは渡部さんの方じゃんと心の中でつっこみ(笑)。
そしたらさっきの俳優志望疑惑の男性が台湾から来ましたとのこと。おお国際的だ〜。
渡部さん韓国で行われるドラマ・アワードにプレゼンターとして出席するそうで、「焼肉、垢すり、・・・」と楽しそうでした。

終わり近くになって、質問コーナーに。真っ先に手を揚げたのはYさん。その瞬間渡部さんたら「出た!」ですって。でもその後すぐ「いつもありがとうございます」って会釈しながら言ってあげてましたから・・・。

質問はフランス語で好きな言葉はありますか?だったのだけど渡部さんはかなり悩んでたみたいで、結局フランス語ではあなたに会えてうれしいという言い回しはないけど、そうことをいうようにしてたみたいな回答で・・・。

以下順不同で覚えている限り。


質問 これからやってみたいことは?

「オレいつもなんて言ってるっけ」とまた隅のAさんへアイコンタクト。
しばらく考えて「う〜ん、・・・時代劇!」場内大爆笑。口にはださないけど総ツッコミですよ!
さすがに芝田さんがさっきの話と違うんじゃない?と言うと、「違うよオレがやる時代劇だよ(照れた感じでおっしゃったのでよく聞こえなかったけど、多分)」。
日本人は時代劇を大事にしなきゃいけない。けどいわゆる決まりきったものじゃない新しい時代劇をやりたいみたいなことを。
芝田さんが渡部さんは乗馬がうまいから大丈夫・・・とふると、質問者が「いつか後ろに乗せてください。どこまでも付いていきます」苦笑する渡部さん「是非」と言ってあげたのかな(このあたりあやふや)。
これで場がなごんだのか手をあげる人が増えたような。それに質問した人の目を見ながら答えてくれるんですもの、質問しなきゃ!ですわよ(しかし最後まで手をあげられなかったヘタレな自分)。


質問 自分の作品で好きなのは?

これも考えて「あまり見てる人いないと思うけどNHKでやった、真珠とりの・・・」
「日常で5ミリ心が動いたことによっておこる感動もあると思う。そういう日常を大切にしたものが好きです」というような回答。これは『婚約旅行』のことだろうか。意外な作品が出てきてすごく興味深かったです。


質問 自分は渡部さんの真似をしてマルボロを吸っているんですが今でもマルボロですか?

マルボロをいつから吸い始めたの?と質問返し。○○才(あえて伏字)ですと正直に答える彼(笑)。
「で、僕がいつから吸い始めたのかって?ああ、今でもマルボロかって?」
「マルボロですよ。フランスだと1個700円くらいして苦労したんだよ。ね、ほんとに普通でしょ(笑)」
実はアヴィニョンで日本の免税店で買ったマルボロを「しょぼいかなあ」と内心思いながらプレゼントしたのだが、喜んで下さったと思っていいのね!


質問 好きな俳優さんは?いつもどんな映画を見たり音楽を聴いたりするのですか?

「いつもは絶対答えないんだけど、今日は言うよ(笑)」「ジャン・ポール・ベルモンドにアラン・ドロン、スティープ・マックィーン(あ、やっぱり!)。かっこいい人が好き」質問者が「私はハーヴェイ・カイテルが好きで渡部さんに重なるんですけど」と言うと「そう言っとけば、(かっこつく)みたいなのはあるよね」と苦笑。
好きな映画は、事務所のレティシアという名前もジョアナ・シムカスからつけたし、フランス映画が好き。
DVDもいっぱいあるし基本的にはなんでも見る。難しいのは見ないけど。
と言ったそばから、思い出したように「あの、アンゲロプロス?は好きだねえ」と、また思いっきり難解な人の名前を(笑)。「なんかいいんだよね。とくに疲れてる時に見ると気持ちよく眠れるし」(笑)。
で、最後に日本のホラー以外はなんでも見ると強調なさってました。
音楽はあまり聴かないそうで、○○くらいだね聴くのは、とおしゃったその歌手(?)は私の知らない人だったので忘れてしまいました(泣)。


いい質問で締めてよと渡部さんに言われたほんとに最後の質問
来月フランスに留学するんですけど、アドバイスをお願いします。

内心なんて質問をするんだと思ったのですが、渡部さんはお店とかほんとに教えてあげたいけど、そうもいかないしとすごく真剣に考えて、日本食の店もいっぱいあるし、身構えないで気楽にとか、したいようにすればいいよとか、予定時間を15分もオーバーするくらいに、熱心に考えながら答えてあげてました。
とにかくフランスはいい思い出もあって好きだ。フランスは自由にやっていいよとか(別の時の発言かも)。
最後に思い出したように「大事なのは携帯電話だね」「僕はさびしがりやだから、すぐ電話かけるから」とおっしゃったのには、つい微笑んでしまいました。


そしてとうとうお別れの時が。そしてとうとうお別れの時が。締めの言葉の後(今日はありがとうございましたみたいなことだっけ?あやふや)大きく手を振りながら退場してしまわれました。
なのにその途中からもう照明が落とされて「なんで?」と不審に思っていると、渡部さんが編集したアヴィニョンのイメージ映像を見せてくださるとのこと。

フランス語の女性歌手のけだるい歌声をバックに渡部さんが夜のアヴィニョンを歩く姿を後ろからずっと追っている映像。舞台の様子のモンタージュの後、楽屋でメーキャップを落としながら、充実感にあふれた表情で「やったよね、うんやった」みたいなことを繰り返している渡部さんで終わり。短い映像ながらあの暑かったアヴィニョンの雰囲気を一気に思い出してしまいました。


冗談半分みたいにフランスに永住するんじゃないかって思ってたプロデューサーもいてとおっしゃってたけど、長く日本で仕事をしていなかったから100名集まるのかなと不安な気持ちもあったようで、熱心に聞き入るファンの前で本当に楽しそうでした。
よく共演した人が面白い人って評することがあるけど、その片鱗を垣間見せてくださってこちらも非常に面白かったです。
興にのると話が脱線してしまって「何の話だっけ?」なんてことも多々あって、ほんとはおしゃべり好きなのね。

普通の人間ですからって何度もおっしゃってましたけど、やっぱり渡部篤郎さんかっこいいです!(って結局それかい)