先程オペラグラスを貸して下さったＦさんはももち浜でのロケの現地スタッフをされていたそうだ。今日は御友人がエキストラで出演されているのでお昼の休憩に帰ってこられるのを待っているとの事。エキストラには地元のサーファーやダイバー達が多数動員されたようだ。

　「ロケなら昨日来れば俳優さんもたくさん来られてたし火薬とか使って面白かったのに」といわれるが、私たちは渡部さんを見に来たのでこの状態で大満足。至福の時といっても良いだろう。
　「北大路さんなんかおっかけのおばちゃんにもみくちゃにされてたし他の俳優さんも気軽に写真撮らせてくれたよ｣
　「渡部さんはね〜、まあクールで売ってるのでしかたないんじゃない」とここでも渡部さんのイメージは･･･。(^_^;)
　見物客の会話を聞いていても「誰？」「ワタナベアツロウ」なとどおっしゃられていて「ちが〜〜う！」と心の中で突っ込む。

　渡部さんは合計で１時間ぐらいはそこにいて下さっただろうか、１時過ぎにはまたワゴン車に乗り込んでテントの横へ移動された。Ｆさんが大丈夫といって下さるのでモンゴル船に乗り込んで記念写真を撮らせてもらう。Ｆさんによればこれからの海上撮影にもさっきのNHK福岡のスタッフが同行して取材するそうだ。
　「戦闘シーンの時には頭に何かつける筈よ」
　「鉢巻きですか？」
　「いや鉢巻きじゃなくて、兜でもないし･･･｣
　う〜んいったいどんな物だろう、きっと渡部さんの事だから斬新な戦闘スタイルを考案されてるのだろう。（これはあの黒い鉢巻、別名マタンゴ巻きの事か？）

　緊張も解け気がつくとタクシーに乗っている間以外はずっと立ちっぱなしのＫさんと私。お腹もぺこぺこでさすがに疲れを感じる。ここでＦさんがテントに入って休んだらと言って下さる。
　いいんですかと驚く私たちに、隅っこで静かにしてれば大丈夫よと勧めて下さるので有り難くそうさせてもらう。そう言えば沢山いたエキストラやスタッフの人たちはみんな出かけてしまわれたようで、テントの中は留守部隊のみでがらんとしている。

　横長のテントの端で健康管理センターでもらったロケ弁をいただいていると真ん中あたりに止めたワゴン車の中から、また渡部さんが出てこられた！
　なんと同じテントに入ってこられてそこにおいてあったミスタードーナッツの袋から一つ二つ取り出して召し上がり始めたのだ。立ったままドーナッツをパクつく渡部さん、か、可愛い。そのままそこに座り込んでお付きの人たちと談笑を始められた。さすがにこちらには背中を向けているが私たちの事はまったく気にしておられない様子。

　「いつもＴＶの渡部さんを見ながら御飯食べてるのにまさか御本人と一緒のテントの中で御飯食べられるなんて･･･」と感動の面持ちのＫさん。そういえばそうだ。広いテントとはいえ同じ屋根の下(^_^;)こんな経験なかなか出来るものではないだろう。本当に来て良かったとしみじみ思う。

　黒い上着を脱いでおられたので赤い着物に帯代わりの同色の布を巻いておられるのが確認できた。ウエストが本当に細い！

　そのうち出航の時間が来たのだろう、立ち上がってお付きの人に上着を着せ掛けてもらう渡部さん。
　Ｆさんが「船に乗ったらガードの人も制止できないから写真撮っちゃえば？」とそそのかして(^_^;)下さったのであわててカメラを取り出して追いかける私たち。さすがに渡部さんの正面に回っては撮れなかった。肝心なところで弱気になる私で、また後で後悔することになる。
　夢中でシャッターを押す間に、渡部さんを乗せた船はあっという間に小さくなってしまった。ああ、渡部さんが遠くなる・・・。とたんに気が抜ける。時計をみると２時１０分だった。

　Ｋさんに渡部さんが座っていた椅子の写真を撮ろうと提案されて、そうだそうだと早速撮影を始める。
　渡部さんが座った椅子、乗ったワゴン車、渡部さんの吸い殻、等々まさしくストーカーのようだ。(^^ゞ
　灰皿代わりの大きな空缶にマルボロのソフトパッケージが捨ててあったが渡部さんが捨てられたのだろうか。ミディアムじゃなかったし違うか･･･。
　そこに渡部さんが飲んでおられたのと同じ缶コーヒーの空缶が置いてあったので手に持ってみると何と中身が残っている。いけない考えが頭をよぎるが流石に理性で押しとどめた。

　帰ってこられるのを待っていたかったがそろそろ広島に帰らなければいけない。Ｆさんが前原駅まで車で送ってあげるといって下さるのでお言葉に甘える事にする。なんとＦさんの車はベンツだった。はじめてベンツに乗ったよ…。
　途中で見かけたスタッフの人に渡部さんはいつ帰港されるのか聞いて下さるがやはり５時ごろだろうとの事。
　「スタッフにも３種類あって着るもので区別してるから。聞くべき人に聞かないとその人も知らない事があるからね」と教えて下さる。なるほどと、いつあるかも知れない次回の参考にする。(まだ行く気なのか＞自分)
　来る時は夢中で気づかなかったが駅まで結構時間がかかった。本当にＦさんにはお世話になってしまった。どんなにお礼を言っても言い足りない気がするがお礼を言って別れる。

　前原駅から列車に乗る。ガラガラの車内を幸いに早速Ｋさんのビデオをチェック。一瞬だが渡部さんの姿がハッキリと映っていて、大収穫だ。
　おかげで予定より早く博多駅についたので、キャストの宿舎だと教えられたホテル○航福岡でお茶を飲む事にする。
　さすがに玄関に「歓迎大河ドラマ御一行様」の張り紙などはない。(あたりまえか)小瓶が６５０円？と内心びびりながらモルツとコーヒーでささやかに今日のロケ見学の成功を祝ったのだった。

★後日談
　翌日現像できた写真は後姿の小さな渡部さんの姿…（涙）が、数日後Ｆさんから渡部さんの写真を送っていただいた。ちゃんと顔が写っている写真で感激する。


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